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滋賀「徳山鮓」の素晴らしさ 関西の旅2

Bysnuko

間が空いてしまってますが、細々と関西旅行ルポ2でございます。

長浜を経て、余呉駅に到着。
空気が全然ちがう! 
清冽に引き締まっていて、肺が洗われるよう。
里山の景色を眺め、共生する動物たちのお話をうかがいながら、送迎のバンで5、6分。

つきました。
こざっぱりとしたインテリアの食堂を通り、お部屋へ。
改装したてとのこと、窓が大きく余呉湖が一望でき気持ちいい。
さっそくお風呂。
普通の内風呂のほか、陶器浴槽の露天風呂が。
露天へのドアを開けっ放しにしておくと、カエルや虫が入って来てしまうそう。
これほど空気がいいってことは、自然もそのままってこと。


台風直撃のこの日、予約もキャンセルが出(そりゃそうだ)、
我々3名での貸切状態で晩ごはん。
すっぽんの一皿でスタート。煮こごり、皮、身。
クリアでしみじみとしたうまみに、ハッとするほど香り高いグリーンの実山椒。

きけば、これは「徳山山椒」と呼んでいるもので、
近隣の何本かある山椒の木でも
日当りなどの環境によって、それぞれ最適な採取時期があると。
然るべきときに採り、最適なやり方で仕込む。
ここから始まるすべての料理に、その意識が感じられました。
琵琶鱒と天然鰻の湯引き。
不思議にさっぱりと切れがいい、鱒の脂のおいしさ。鰻の歯ごたえ。

イタリアンの一皿、鯖の熟鮓にトマトピュレ、カチョカバッロ。

これほどの量だったにもかかわらず、いつまでも食べていたかった!
かりっと直焼きされた鰻に徳山山椒。
蒸したものとは全く違う小気味いい噛みごたえ。

琵琶鱒に熊脂をのせた蒸し物。
熊の脂のうまみと、食後の体のポカポカにびっくり。

鹿肉と焼き野菜。ひきしまった野性の香りの鹿。
赤ワインも合うだろうなあと。

舞茸天ぷら。
これが採れると舞い踊ったという
いにしえの人の気持ちがよくわかる香りのよさ。
心ゆくまで味わえるたっぷりした量がうれしい。
子持ち鮎と舞茸。
同じ舞茸でも調理法でうまみの印象がちがいます。

看板メニューとうかがっていた鮒鮓。
実は鮒鮓を食べるのは初めて。
ヨーグルトのような乳酸菌の酸っぱさ、全く生臭みのないチーズのようでもあります。
身や骨はほろほろと崩れるやわらかさ。
周囲の飯も、ほどよい塩気と酸味で極上のアテ。
ここまで立派な大きさに育つにも、
漬け込んで熟らすにも長い時間がかかっているそう。
なんと奥深い食べ物、とひたすら感服。

しめくくりは、熊と茸のお雑炊。
だしのおいしさに、もう恍惚。


鮒鮓の飯で作られたセミフレッド。
やはりヨーグルトやフレッシュチーズのよう。
添えられた野生のミントの目が覚めるような香り!

まだ飲んでいたい〜との様子に、鮒鮓と吉田牧場のラクレットチーズが。幸せ…。

とにもかくにも、徳山さんのお話の面白いこと、勉強になったこと。
この地に育って、故郷の個性を知り尽くし研究し、身につけてこられた知識。
実学というのはこういうことなんだなあ。
たゆまず作り続け積み上げてきた方の言葉は、一言一言が尊い。

ゲストが私たちだけなので、
特別に珍しいものも見せていただく。

熊の胃。
月の輪熊の毛皮。
無知蒙昧で恥ずかしいのだけど、
本当に月の輪みたいに白い部分があるのね…。
とはいえ、むやみな狩りや、熊売りからの買い物などは決してしないそう。
動物たちと共生するということについても、
筋の通ったお考えを持っていらっしゃることがうかがえました。

いただいたお酒はすべて七本槍。
地のものにはその土地のお酒が合う。
お部屋に戻り、さらに鮒鮓とお酒で更けゆく滋賀の夜。
雨音を聞きながら。最高だったなー。


翌朝は、まだ雨が残っていましたが、
雨音ではなくお腹がすいて起きるなど…どうしたことでしょう。
おそるべき発酵食の威力。

朝ごはん。
鮎や煮熊などはもちろん、漬け物や梅干しのおいしいこと!
ごはんが進んで止まらない。
山椒、わけていただきたかったほど。

鮎の稚魚、氷魚の鍋。
さっぱりとしただしに、白魚としらすの間くらいの大きさの氷魚。
骨を感じるのでしゃこしゃこと噛み砕く。爽やかな朝の鍋。

雨も上がり、余呉湖を眺めるコーヒータイム。
鮒鮓をお土産にいただいて、おいとま。
また必ず再訪したい場所ができました。
初夏に山椒採りのお手伝いをしてみたいし、桜の春や真夏もいいだろうなあ。
誘ってくれた友達に感謝。
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